大江健三郎(おおえ けんざぶろう) 職業:小説家
ノーベル文学賞作家として有名な大江健三郎さんは、愛媛県出身で、森に囲まれた谷間の村で幼少期を送ります。高校時代から読書に勤しむようになり、文芸部に所属して部誌の編集や執筆に携わり、自身の詩や評論を掲載するなどの活動を行います。高校卒業後に上京、予備校生活を経て、東京大学文科二類に入学しました。
大学では学生劇の脚本を執筆したり、学内の機関誌に作品を掲載して賞を受賞するなど、その才能を発揮し始めます。1956年に文学部フランス文学科にすすみ、翌年、文芸雑誌『文学界』に「死者の奢り」を発表して、学生作家デビューを果たしました。
1958年、「飼育」で芥川賞を受賞します。23歳での受賞は、当時最年少での受賞でした。卒業後も様々な作品を世に送り出し、数々の賞を受賞していきます。そして、1994年10月14日、ノーベル文学賞を受賞します。川端康成以来26年ぶり、日本人では2人目の受賞者となりました。
大江さんの文学は、フランスの哲学者、サルトルの実存主義に大きく影響を受けているとされており、東大での卒業論文も「サルトルの小説におけるイメージについて」でした。豊富な外国文学の読書経験や戦争の経験、さらには知的障害のある子供を持つという自身の経験を重ね合わせ、独自の文学世界を作り上げていきました。
2006年には大江健三郎賞を設立します。大江さん自身が日本の優れた小説作品を選び、受賞作は英語・フランス語などに翻訳刊行されるということです。この賞の設立に際して大江さんは、「いま情報テクノロジーの支配する社会で、最も痩せているのが『文学の言葉』です。」と語っています。この賞を通して、大江さんは、『文学の言葉』の恢復(カイフク)と、力に満ちた『文学の言葉』の作品を世界に向けて推し出したいと考えているようです。
大江さんの文学は難解でとっつきにくいとも言われていますが、日本の文学の一時代を築いた大江さんの作品を、ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。
