進学選択の仕組み
3・4年生で進学する学部・学科を決定する進学選択制度(通称:進学振り分け・進振り)の仕組みについてご紹介します。
※2020年度進学選択の情報を掲載しています。
詳細は変更となる場合がありますので、進学選択の際は必ず大学配布資料をご確認ください。
進学選択(進振り)の仕組み
東京大学は、一般的な大学のように学部ごとの募集ではなく、文科一類~三類、理科一類~三類のように類ごとの募集が行われます。
前期課程の2年間は教養学部に所属し、始めの1年半[1年Sセメスター(前期)~2年Sセメスター(前期)]は駒場キャンパスで基礎的な知識と方法を学びます。残りの半年間[2年Aセメスター(後期)]は後期課程で進学が内定した学部・学科の基礎となる専門科目を学びます。
後期課程で進学する学部・学科は、2年次に行われる「進学選択」で決定します。この「進学選択」は、学部・学科ごとに定員があり、「第1段階」から最大「第3段階」までを経て内定します。
そのため、「進学選択」では2年Sセメスター・S2タームまでに履修した科目の成績が重要となります。基本的に定員枠内で成績の平均点が上位の人から順に内定するからです。
人気のある学部・学科では合格最低点が非常に高くなります。また、その逆もあります。
ここで注意してほしいことは、学部・学科の人気によって教育内容に差があるわけではないということです。志望に関しては、しっかりと自分の将来を見据えて選択しましょう。
さて、「進学選択」で各学部・学科が受け入れる人数は、「指定科類枠」「全科類枠」という2つの枠で決められています。
「指定科類枠」は、特定の科類の人のみが対象となる枠で、たとえば文科一類で○人、理科一類で◯人というふうに決められています。また、「指定科類枠」と「全科類枠」の両方が設定されている学部・学科では、「指定科類枠」で内定しなかった人は自動的に「全科類枠」で振り分けられます。
「全科類枠」は、すべての科類の人が対象となる枠のことで、「指定科類枠」に比べて、受け入れる人数が少ないことが多いです。さらに、すべての学部・学科に「全科類枠」があるわけではないので注意が必要です。また、文類から理系学部・学科を志望する場合には、進学を希望する学部・学科が指定する科目(学部・学科によって異なりますが、多くは理系の必修科目)を履修していないと志望することができませんので、しっかりと確認する必要があります。
このように「進学選択」はとても特徴的な制度です。ページ下部の「進学選択用語集」をぜひ参考にしてください。
進学選択制度(進振り)の例外
「進学選択の仕組み」で、東京大学は文科一類~三類、理科一類~三類のように類ごとの募集が行われると説明しましたが、その例外が2016年度より実施されている「学校推薦型選抜(旧推薦入試)」です。
学校推薦型選抜では、類ごとではなく学部・学科ごとに募集が行われます。
学校推薦型選抜による入学者は入学後、文科一類・文科二類・文科三類・理科一類・理科二類・理科三類の6つの科類のうち、志望学部が合格発表時に個別に指定する科類に分かれ、教養学部に所属して前期課程の学修を行います。前期課程修了後は、出願時に志望した学部・学科等へ進学します。
※東京大学の学校推薦型選抜について詳しくは、「東京大学の学校推薦型選抜」をご覧ください。
東京大学の各科類の進路
文科一類
主に法学部に進学します。卒業後は国家公務員になる人や、法科大学院を経て弁護士をめざす人が多いようです。
文科二類
主に経済学部に進学します。卒業後は金融・保険業や製造業などの民間企業に就職する人が多いようです。
文科三類
主に文学部・教養学部・教育学部に進学します。卒業後は情報通信系の企業に就職したり、教員をめざす人が多いようです。
理科一類
主に工学部・理学部に進学します。卒業後は各専門の大学院に進学し、エンジニアや研究者になる人が多いようです。
理科二類
主に農学部・工学部・理学部・薬学部に進学します。卒業後は大学院に進学し、薬剤師や獣医になる人が多いようです。
理科三類
主に医学部に進学します。卒業後はほとんどの人が臨床研修医となり、将来的には医者になります。
東京大学の科類・学部対応表
各科類からの主な進学先の学部をまとめました。
科類 | 学部 |
---|---|
文科一類 | 法学部 |
教養学部 | |
文科二類 | 経済学部 |
文学部 | |
教養学部 | |
文科三類 | 文学部 |
教養学部 | |
教育学部 | |
理科一類 | 工学部 |
理学部 | |
教養学部 | |
農学部 | |
薬学部 | |
医学部(健康総合科学科) | |
理科二類 | 農学部 |
工学部 | |
理学部 | |
薬学部 | |
教養学部 | |
医学部(医学科、健康総合科学科) | |
理科三類 | 医学部(医学科) |
※現役東大生による実際の進振り体験談はこちらをご覧ください。
進学選択用語集
進学選択
3年以降の後期課程で進学する学部・学科を決める制度です。最大3段階選抜で行われ、2年Sターム(前期)までの成績の平均点が上位の人から順に内定します。
進学志望登録
2年の6月にウェブサイト上で進学を希望する学部・学科を登録することです。
「第1段階」は第1志望のみの登録ですが、「第2段階」は複数の学科を登録することができます。「第2段階」が終了後は、対象者のみ「第3段階」を登録します。「第3段階」は、「第2段階」終了時に定数を満たさなかった学部・学科単位で実施されます。
第1段階
まず「指定科類枠」で行われ、指定科類(法学部なら文科一類など)の成績上位者から順に内定します。次に「全科類枠」として、指定科類で内定していない人と指定科類以外から進学を希望する人をあわせて行われます。ここで内定していない人は、「第2段階」に進みます。
第2段階・第3段階
「第2段階」で「第1段階」で内定が出なかった残りの人が内定します。ここで内定していない人は、「第3段階」へ進みます。
指定科類枠
特定の科類のみが対象となる枠で、科類ごとに定員が決められています。
全科類枠
すべての科類が対象となる枠です。ただし、文類から理系学部・学科を志望する場合、一部の学部・学科で「要求科目」を満たす必要があります。
要求科目
文類から理系学部・学科を志望する場合に、履修していないと理系学部・学科に志望することができない科目です。学部・学科によって異なりますが、その多くは理系の必修科目です。
要望科目
一部の学部・学科が指定している進学後の基礎として単位取得が望ましい選択科目です。履修していなくても志望できます。
不志望
志望する学部・学科があって平均点が足りない場合、「進学志望登録」で「不志望」を選択し、「降年」して平均点を上げようとする試みです。また、「進学志望登録」で登録をしなかった人も「不志望」扱いとなり、「進学選択」の対象外となります。
降年
2年Sセメスター(前期)終了時に、「不志望」を選択した人や内定していない人が2年Aセメスター(後期)に進まず、1年Aセメスター(後期)に戻ることです。
留年と似ていますが、「降年」は2年Sセメスター→1年Aセメスターと学年が下がるためにこう呼びます。「進学選択」がある東大特有の現象です。
留年は1年Aセメスター(後期)や2年Aセメスター(後期)終了時に、必要な単位数が足りない場合、進級できず同じ学年を繰り返すことです。
内定取り消し
2年Aセメスター(後期)終了時、前期課程終了に必要な単位数が足りない場合は留年することになり、内定は取り消されます。